末梢動脈疾患(PAD)

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PADはおおむね閉塞性動脈硬化症と同義です。PADでは間欠性跛行(一定距離を歩くと筋肉が痛くなり、休憩を要し、その後再び歩行可能となる=心臓における狭心症とと同じです)とより重症である重症虚血=安静時痛・潰瘍・壊疽の大きく分けて2つの病態があります。しかしながらちょっとしたことがきっかけとなって(深爪、足をぶつけるなど)重症虚血(カラー写真参照)に至ってしまうことがあります。

PADを有している人はすでに動脈硬化が進行しており、全身の血管が侵されていることが多いです(PAD患者の60%以上は脳血管疾患や心疾患を合併しているともいわれます)。
つまり症状(間欠性跛行や安静時痛・潰瘍・壊疽など)が認められるときはすでに全身病であり、遠隔転移を伴ったがんのような状態とも言えます。 また、PADでは間欠性跛行の状態と重症虚血の5年生存率はそれぞれ約70%、40%であり胃がん・大腸がん・乳がん・肺がんなどよりもかなり低くなっております。

重症虚血の場合は外科的な血行再建を原則行う必要がありますが、残念ながら下肢切断に至ることもあります。そのような場合では1年生存率70%、5年生存率30%ともいわれておりかなり低い値です。下肢切断を施行されるとその後のADL(移動能力の低下や喪失感も含めて)や全身状態が劇的に悪化してしまうので、下肢切断はできる限り避けるべきと思われます。そのためには重症虚血となる前の間欠性跛行状態の間に治療を開始することが非常に重要と思われます。

治療は基本的に薬物・運動療法および禁煙です。薬物は間欠性跛行症状の改善効果があると認められているシロスタゾールやLDLコレステロールの改善を期待してスタチン製剤の使用、運動療法は筋力の維持や血行の改善を目的としていますが、糖尿病の治療や心肺機能の維持、気分転換にもなります。また禁煙はまず最初に行うべき基本的治療法です。これができないと他の治療が無意味となってしまいます。
ADLの劇的な改善を望むのであれば手術療法(血管内治療や外科的バイパス)も検討され、しかるべき医療機関に紹介させていただきます。

当院では、足の健康を保つことできるように生活指導やフットケアを行っております。
皆さん、足の健康を保つことは生活を保つことにつながります。些細なことでも大事につながります。こんなの大したことない、年だからしょうがないと思う前に我々にご相談ください。